2007年6月 1日 (金)

site around vol.8 『良いも悪いも自分で選べば納得』

(by 伊藤恭子

先日、今まで行ったことのないジャンルのお芝居を観ました。チケットがすぐに完売するというたいへん人気のある劇団と役者さんのお芝居。いつも話題になるので気になりつつも、まぁそんなに好きなわけでもないし、とイープラスのプレオーダーの案内も見過ごしていました。その後、『特別にイープラスだけで追加席発売!』というメール告知につられて申し込み、運良く手にしたチケットです。

当日、席につくと、すぐ近くにモニタが設置してあることに気づきました。自分の座る席からは舞台の一部が見えないことをなんとなく認識します。2等の追加席だし、思い入れ強く手に入れたチケットではないので、まぁたいして気にはしませんでしたが、結果、劇中の何分かはモニタのおぼろげな映像しか観ることができなかったのでした。

今まであまり触れたことのない新しい魅力にすっかり心酔して帰途についたものの、心の中には少し疑問符が残ります。2等の追加席ではあるけれど、国内の劇団で8000円近い金額を出していたのに、あの見え方はなぁー。事前にわかっていれば、気にはならなかったのかもしれないのに。

以前、私のプライベートなブログでも紹介したことのある、英国のROH(ロイヤルオペラハウス)のサイトをふと思い出しました。このサイトでは、チケットを予約する際に希望の席のカテゴリを選ぶと、カテゴリ内の席からの舞台の見え方を席ごとにクリックして確認することができます。見えにくいことも明記されています。なので、いざ席に着いたら思ったよりよく見えなくてがっかり、ということはほぼありません。

さらには、それぞれの座席に設置された椅子の説明や写真まであります。座席の等数によって異なる椅子の大きさや背の高さ、スプリングのよさを想像しながら、自分の求める見え方、座り心地を値段とのバランスを考えて納得いくように選べます。待ちに待っていたダンサーの舞台なら一番よい席をとって堪能すればよいし、長時間座るのが苦手なら、少し高めの良い席で座り心地の椅子に座って安心して楽しめばよいし、何度も通いたい人、音楽や雰囲気だけ楽しめればよいのであれば、それ相応の席を選べばよいのです。

ここまで行き届いた予約システムを持っていると、予約の過程だけでも十分楽しめてしまいます。あとは、当日、劇場のボックスオフィスでスムーズにチケットを受け取り、自分が選んだ座席で心から楽しむのみ。

年間、相当な数のチケットを扱う劇場サイトやチケット販売サイト。次に付加するサービスは、ROHの予約システムを参考にしてみませんか? 

今回取り上げたサイト 英国のロイヤルオペラハウス
              (SEATING PLANはここで体験)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月 4日 (金)

keywords zapping vol.9 “プレミアム”の境界線

 (by 伊藤恭子

お~いし~い!!! 思わず声が出てしまいました。

日中会った友人から「『ドルチェ』おいしいよー!」と聞いて、今夜のデザートはぜったいにハーゲンダッツの『ドルチェ』にしよう! と考えながら帰宅しました。夕刻に見た、別の友人のmixiの日記にもまた、「すんごく×100 おいしーい!」との記載。発売直後(5月1日発売)に購入したまま、まだ食べずにフリーザーに大切にしまってあった私は、夕食後まで待てずに“ひとすくい”を口に運んでしまったのでした。

プレミアムアイスクリームと呼ばれる市場には、今、さまざまな種類のアイスクリームがあります。和の甘味を表現したものや、フルーツの風味が豊かなもの、上等なチョコレートを食べているかのようなものなど、工夫やこだわりに満ちているので、いつも本当に楽しみにしながら最初の一口を口に運びます。ハーゲンダッツが期間限定で新しいフレーバーを発売すると、必ず購入せずにはいられないし、いつも必ず2個はフリーザーに常備してあることに、ふと気づきました。

以前、新聞かどこかのサイト(おそらく日経系)で目にした記事なのですが、ハーゲンダッツを購入した消費者がそのアイスの食感に不満を感じると、その後ハーゲンダッツを購入しなくなるのではなくて、そのハーゲンダッツを購入したショップでは以降購入しなくなる・・・というようなことが書いてありました。つまり、消費者はハーゲンダッツは絶対においしいと信頼しているから、販売しているお店の管理状態のほうを疑っているというわけです。プレミアムアイスと呼ばれるだけのことはあるものだなと感心した記憶があります。

今、世の中には、“プレミアム”と冠する商品やサービス、ショップが驚くほどたくさんあります。ペットフード、ビール、チューハイ、コーヒーのブレンド、お鍋、コンピュータのソフトウェア、ゲーム、健康器具、靴、フィギュア・・・、Yahoo!にもmixiにもあります。ハイオクガソリンの正式名称はプレミアムガソリンだと、今、はてなを見て知りました。

ここまでたくさんプレミアムがあると、プレミアムであること≒スタンダード になっていない?と心配になります。 (もちろん上記の中にもさすが“プレミアム”ね!という商品やサービスはあります!)

100円のカップアイスやソーダ味のアイスキャンディー、あずきバーなどももちろん気軽でおいしいけれど、でも、あえてプレミアムアイスクリームを食べたい、買いたいと思わせてくれるもの、それが“プレミアム”の持っていなければならない境界線。あまりに“プレミアム”が氾濫し、境界線が曖昧になると、“プレミアム”のさらに上を表現するネーミングが今度は流行しそうですね。

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2007年2月 9日 (金)

一人の女の主観と客観 Vol.8 「ボーダレス」

(by 水野可奈子

WEBサイト制作を生業としているので、毎日毎日インターネットの事ばかり考えて生きている。それ故に視野が狭くなるのが嫌で、いかにもネット業界の人間みたいな風貌とかライフスタイルになりたくないとも、思っている。休日にわざわざ個人的な楽しみでネットを利用する事が、仕事の延長みたいで気が乗らない事もあった。しかし、そんな私のオフの生活にもどんどんネットは浸透してきてしまう。06年はその浸透ぶりに、日本がネット普及の次フェーズを迎えたなーと、実感せずにはいられなかった。

会社の仲間達からたまに送られてくるメッセージで、おもしろ映像を紹介してくれるのだが、あのYou tubeというサイトを自ら積極的に見る機会は、ほんとにたまにしかなくて、最近で言うと某お笑いコンビの片割れが不祥事を起こして、相方が番組内で涙ながらに謝罪した、例の話題映像を見たくて訪れたのが記憶に新しい。そんな私が昨夜、物凄い勢いでYou tubeを自宅で見まくってしまったのだ。

ちょっと恥ずかしいのだが、何の映像を見まくったかというと、じ、じつは、、80年代アイドルの映像である、、。いや〜ん、は、ハズかしーわ。。同年代の方なら理解していただけるかもしれないが、見たくないですか?黄金期のキョンキョンとか明菜ちゃんとか聖子ちゃんとか!!だって青春だったじゃないですか!で、これがいっぱい掲載されてるわけですよ、You tubeに!驚きです。しかも夜のヒットスタジオとかベストテンとかを録画した画像らしく、珍しいオンエアもあったりして、「うっわー!これオンタイムで見てたよー!翌日学校で話題になったよな〜。。はーん。。」ってもうウットリですよ。え。37歳バツイチ一人暮らしですけど、ナニか?!

それにしても80年代はエキサイティングだった。最近映画の題材にもなってるけど、バブルという病気に冒されていたせいか、テンション高かった。当時のタレントの衣装やなんかも最高におもしろい。眉毛は太くて刈り上げ風ショートカットがたまらなく可愛いキョンキョンや、マドンナのまねっこ?と思わせるジャラジャラアクセのNOKKOとか、アンニュイ系の明菜ちゃんや小林麻美。。めくるめく世界である。ファッションは繰り返すから、近頃スパッツとかキテるけど、80'sカルチャーはこれからまだまだ盛り上がると確信してしまった。私も映画さながらタイムマシンに乗って一週間くらい戻ってみたいと思ってしまった。

いろんなお宝映像を見ていくうちに、その映像を見たユーザーからのコメントが気になってくる。同じように感動した人がいると、さらに自分の気持ちも盛り上がるものだ。You tubeは英語版だからコメントも英語。つまり海外の方からのコメントも多いわけだ。80年代の日本のアイドル映像を海外のユーザーが見て、「クールな曲だし、彼女はとっても美しいね!」とか「今まで観た中で最高のライブ映像だ!投稿ありがとう!」という類いのコメントが載っているから驚きを通り越して感動してしまった。中には「歌詞はわからないけど、この曲が大好きになった。誰かこの曲のタイトルを教えて!」という海外の方のコメントに、日本語タイトルの意味を他のユーザー(多分日本の方)が教えてあげて、英語でその意味まで伝えている。それに対してまた感謝のコメントも載っている。すごいなー。。。言葉がわからなくても映像と音の持つパワーは万国共通に有効なんだなー。しかも時代をも超越してしまう。20年の時と国の違いを軽々と超えて、人を感動させることができるメディアがこれまでにあっただろうか?

確かに著作権の問題はある。恐らくこれは違法なんだろう。
けれども、You tubeがなかったら2007年にアメリカ人がレベッカや中森明菜の黄金期を知る事があっただろうか?!そして、こんなに離れている人同士が、感動を共有することができただろうか?
インターネットが犯罪の温床みたいに言われる事もあるけれど、我々は新しい道具を手にしてしまったのだ。道具は使い方によっては人を救ったり殺めたりするものだけれど、道具に責任はない。使う側に責任があるのだ。それは人類創世の頃から何も変わっていない単純なことではないだろうか。規制や法律は必要だけれど、何のためのルールか、何が大切な事なのか、そこを忘れてはいけないはずだと、改めて思う深夜のひとときだった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年1月12日 (金)

気になる芽 vol.9 『人間ウォッチング』

好きなモノ・コトはいろいろとありますが、とくに好きなのが歌舞伎。毎月変わる演目、演じる役者さんにより異なる役柄の印象、舞台の色づかい、和のしきたり、場の雰囲気などなど、出かけるたびに心底満喫して帰ってきます。

観劇する際のもうひとつのお楽しみは、人間ウォッチング。歌舞伎座内でも、1階席、2階席、3階席では、お客さんの顔ぶれも楽しみ方もちょっと違います。同じ歌舞伎でも、歌舞伎座と国立劇場では微妙に異なるし、同じ劇場でも、ミュージカルやバレエ、コンサート、お芝居などの内容によって、客席に座る人々は大きく変わりますよね。異色のメンバーでのコラボレーションなどは、客層もグループ分けできて面白いものです。劇場内でのアナウンス、係員の方々の気配り、トイレの数や位置など、それぞれの劇場の雰囲気と客層によって細かに異なり、興味深い。

歌舞伎座や国立劇場、新橋演舞場、帝国劇場などは、劇場内のお買い物コーナーも結構充実していて、その品揃えを見ると、メインのターゲットがあまりにもわかりやすく浮かび上がってくるので、つい笑ってしまうこともしばしば。その日の演目内容にちなんだグッズや和の小物以外にも、大ぶりのキラキラした石のついたふくろうのブローチや、ピカピカのメタリック系の糸の走るセーターやブラウスなども並べるお店もあります。

あるサイトのログ解析を初めてした際、同じような面白さを感じたことを思い出します。Webサイトを見ながらコンピュータの前に座るユーザの顔が透けて見えるような錯覚を持ちました。その人たちがどんなふうに感じながらサイトを見ているのだろう、その人たちのライフスタイルはどんななのだろうと想像をふくらませました。

webの面白いのは、毎日多数訪れるユーザの動向をはっきり数字でとらえることができること。仮説とははずれた動きが数値にあらわれたり、初めの頃は少数派だったユーザ層がだんだん拡大していったり。そんな変化を実感できたり、向き合って発見することに面白みを感じます。

毎月毎月解析をしているとあまり変化を感じられずにいても、季節ごと、年間でとらえると、思わぬものが見えてきます。それは、小さなことにきちんと気づけるからこそ見えてくるもの。慣れによる玄人的見方ができることもあれば、逆に慣れで見落とすことも人間ならあるかもしれません。

毎回劇場に足を運ぶたびに小さな発見を重ねて楽しめるのは、一生懸命見ているから。
サイトを訪れるユーザたちにも、同じような強い思いで向き合っていきたいと思う新年の始まりなのでした。(by 伊藤恭子

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年12月 8日 (金)

気になる芽 vol.8 『残り時間』

先日、コンタクトレンズを買いに眼医者さんへ行きました。ふだんは度が弱めのハードレンズ、旅行や観劇、映画を観にいくときは、遠くがよく見えるように度が強めの一日使い捨てタイプのソフトレンズ、と使い分けているため、頻繁に眼科に行っています。

視力や眼圧などを測り、次はお医者さんの診断・・・といつもどおりの手順で待っていたところ、看護師さんに「コンタクトレンズを使い始めてどれくらいになりますか?」と聞かれました。なぜか自信たっぷりに、「かれこれ20年以上になります」と答えた私に、「では、コンタクトレンズの長期使用で目に影響がないか調べてみましょう」と、今までと違う機械で簡単に測定。<影響ってどんな影響のこと?>と内心疑問に感じながら、眼科医に名前を呼ばれるのを待ちました。

「3,000~3,200個ぐらいあるので、まだ大丈夫ですねー」 
眼科医が突然数字を口にするので、なんのことやらと思っていたら、これが、『コンタクトレンズの長期使用による目への影響』を表す数字だとか。

黒目の内側には、角膜の透明度を保つ働きをしている角膜内皮細胞というものがあり、成人で通常1平方ミリメートルあたり、3,000~3,500個あるそうです。この細胞は年を重ねるとともに減っていくもので、さらにコンタクトレンズ使用者はレンズ装着によって角膜が酸欠状態になりやすいことから、その減少度が大きくなるとのこと。1,000個以下になると、黒目が濁り、視力が著しく低下するのだそうです。

年をとった時に白内障などの手術を受ける(手術時に700個ほど減少する)ことなどを考慮すると、40歳で2,500個以下になっている場合は、レンズを使うことをやめたり、装用時間を短くするなどの対処が必要になる、一生使えるものではないんですよ、とのお話しでした。

今まで、コンタクトレンズ使用に期限があるなんて考えたこともありませんでした。相当びっくりした様子だったのでしょう。眼科医は続けて言いました。
「コンタクトレンズは必要な時に使うようにして、メガネをできるだけ併用したほうがよいです。眼科医ってみんなメガネじゃないですか? ほら、ぼくだってメガネでしょ? 死ぬまで若いときと同じことをし続けられることなんて、ほとんどないものですよね」

アンチエイジング、もちろん興味あります。でも、シワができるのは自然なことだし、いい生き方していればいいシワができるだろう~と楽観的で、もともと年齢を重ねることもあまり気にならないほうでした。しかし、この時ばかりは、自分の年齢や人生という限りある時間について認識せざるを得ませんでした。

はて、私の残り時間ってどれくらい?

この疑問符、思いがけずかなり有効。お買い物、食事のとり方、休日の過ごし方など身近なことだけでも、自分のなかで変化が起きているような気がします。みなさんも、自分の残り時間についてちょっとだけ思いを馳せてみませんか? あくまでも前向きな意味で。。。 (by 伊藤恭子

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006年12月 1日 (金)

keywords zapping vol.8 「揺れ幅持つ『メリハリ』消費」

12月。今年の総集編や総まとめといった記事や番組、話題を、目に耳にする時季となりました。流行語大賞、ヒット商品番付を見ながら、コンシャス・フィーメイル像を表すワードを考えてみたいと思います。

流行語大賞候補60語も含めて見ると、ヒット商品番付と重なる言葉が多く、表現を変えながらコンシャス・フィーメイルのブログにも登場していたことに気づきます。ヒット商品番付に並ぶ商品のなかでコンシャス・フィーメイルのフィルターにかかりそうなのは、デジタル一眼レフ、プレミアムビール、高機能洗濯機、フルハイビジョン、プレミアムシート、アンチエイジング、ミクシィ(ウェブ2.0)、ワンセグ、植物性乳酸菌、新型コンビニ、バッグ、パーシャルエステ、オーツーサプリなどでしょうか。どれも今までとは異なった切り口や付加価値を持ち、高級感や本格派を感じさせます。

でも、上記の商品やサービスをすべて持っている、日常的に使用しているコンシャス・フィーメイルなんて、おそらくほとんどいないはず。それぞれのモノサシにヒットした、これらのうちのほんのいくつかが、多様な組み合わせで愛用されているのだと思います。

しばらく前に「『メリハレ』消費」という記事(日経MJ 11/6)がありました。長引く不況のなかで出費は抑えながらも、人生の節目や晴れ舞台には惜しみなくお金を使う消費スタイルのことを、このように表現したようです。たしかに、コンシャス・フィーメイルにもこの表現はあてはまるはず。しかし、『メリハレ』だけでないところが、この層の面白いところ。身につけるもの、身のまわりのもの、食べるもの飲むもの、自室に置くものなどの消費行動すべてに、明確なメリハリがあるのです。晴れ以外はいつもつましく、地味なのではありません。

自分の消費モノサシに合うモノやサービスだけ突出して消費するのが、コンシャス・フィーメイルのスタイル。そのモノサシはかなり多岐に細かく分類されたメモリを持っていてシビア。お金を惜しみなくかけるものとそうでないものの格差が非常に大きく、それにはライフスタイルが浮き彫りになるほどの強い信念のようなものさえ見え隠れします。

強そうな信念ながらも、流行やちょっとした誘惑、社会風潮で少し揺らぐのが女ごころらしさでもあります。10/20のブログにもそんなかわいい心が見え隠れ。成熟していく市場のなかで、メリハリある女性の心がどう揺れていくのか、どう揺らされるのか、2007年もみつめていきたいと思います。 (by 伊藤恭子

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月24日 (金)

site around vol.7 『コンテンツありき』

毎月、楽しみにしているものがあります。それは、台湾茶の頒布会。店主が選んだその時期イチ押しの茶葉を、少量パックで毎月送ってくれるという内容のものです。

Dscf0713今まで欧州一辺倒だった私が、ふとアジアの国への旅に目覚たのが数年前のこと。2時間のフライトで気軽に行ける台湾は、アジアの国々のなかでもお気に入り度のかなり高い国になりました。

そのきっかけは、お茶。台湾の茶藝館の畳の部屋で、壁にもたれて足を伸ばしながら何時間ものんびりとお茶を頂いたのをきっかけに、すっかり台湾茶を気に入ってしまいました。

旅のたびにいくつかの茶葉と茶道具を購入するものの、いつものマテリアルガールな私はもっともっと他の種類のお茶や茶器が気になります。オンラインショップ、2大勢力といわれる原宿と渋谷の中国茶・台湾茶のお店はもちろん、中華街のお茶専門店にも何度も足を運びました。そんなことを重ねるうちに、あーあ、おいしいお茶の頒布会があればいいのに、と考えるようになりました。少しずつ、毎月、納得できる味のお茶が届いたらどんなにいいだろう・・・。

さっそく「台湾茶 頒布会」で検索し、お気に入りのショップに出会ってちょうど一年になります。

『本当の台湾茶を気軽に味わっていただこうと、この頒布会を企画しました。
 毎月季節毎の茶葉を台湾から空輸し、パッキングして、そのままお届けします。
 台湾茶入門として、この頒布会をきっかけに自分の好きなお茶を見つけていただく
 もよし。また、季節毎のお茶を継続して味わっていただくもよし。
 あなたなりの楽しみ方を見つけてください。』

『毎月となると、あまりたくさん届いても飲みきれませんよね。
 そこで、通常の茶葉で30gを基本にお届けしています。
 これはプレゼントの蓋碗だと10回前後。通常の茶器ですと5~6回分です。
 賞味期限は1年以内ですので、1ヶ月で飲みきれなくても大丈夫です。』

まさに希望していたとおりの内容でした。一回目に「プレゼント」として同梱される『染付蓋碗』は作家もののうえ、頒布会向け特別品で少し小さめサイズというのがかわいらしい。これまた魅力的です。

迷わず頒布会を申し込み、最初の到着を楽しみに待ちます。到着した箱には、その月の茶葉と、茶葉についてのレポート、頒布会会員割引で購入できるお茶リストとともに、サイトでの説明どおり小さめの『染付蓋碗』が入っていました。お茶、丁寧なレポート、梱包にもすっかり満足です。

この頒布会を実施しているオンラインショップは、今年の10月に大きくリニューアルされました。リニューアルされる前は、欲しい商品になかなかたどり着けなかったり、ユーザビリティやデザインに???と感じることが、実のところありました。それでも、何度もこのショップのページを開き、自分用、はたまた友人用にまで注文を重ねてきたのはなぜなのでしょうか。

それは、コンテンツが充実しているから。これが一番の理由でしょう。この場合のコンテンツとは、商品内容のことを指しています。やみくもに商品点数だけが多いのではなく、商品内容の質が高いのです。店主が納得した旬の茶葉や器が揃っていて、本社住所から店主の育った環境がうかがえ、その確かな選択眼・舌に納得します。

さらには、商品内容と丁寧な顧客対応、梱包から、ターゲットとしている客層が浮かび、数ある中国茶のオンラインショップとは、異なるベクトルを持つことがわかります。

Webサイトを作るときにもっとも大切なのは、そのサイトが一番のターゲットとするのはどんなお客さんなのか、そしてそのお客さんが満足するようなコンテンツは何なのか、を明確にわかっていることなのだと実感します。デザインやユーザビリティも大切ですが、本当に欲しいコンテンツがあれば、多少の使い勝手の悪さも、好みとはちょっと異なる色づかいも、ノリに今ひとつ共感できないメールマガジンでも、目をつぶることができてしまうものではないでしょうか。(もちろん、コンテンツが整えられるのなら、デザインやユーザビリティにも前向きに取り組むべきですが!)

新しいテクニックやテクノロジーにたよらない、本当にそのサイトにあるべきコンテンツ。そんなことを追求してみたら、今、運営中のサイトを見直したくなりませんか?

単なるお茶とあなどれない、奥深きお茶の世界。お茶といえども驚くほどの価格がつく茶葉があります。上には上があり、飲めば飲むほど味を少しずつ知っていきます。新しい深みにはまらぬよう用心しながらも、養壺*にいそしむ夜はふけていくのです。 (by 伊藤恭子

*養壺(ヤンフー):
お茶を入れる急須「茶壺<チャフー>」を育てること。長く大切に使い手入れを重ねた茶壺はさらに味わい深いお茶を入れることができる。

今回取り上げたサイト アイシス茶樂館

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年11月21日 (火)

お詫び

いつも「conscious female コンシャス・フィーメイル」をご覧いただき、ありがとうございます。諸々の事情により、1ケ月ほど更新が滞っておりましたが、11月24日の第4週 site aroundより再開いたします。

この1ケ月中に、弊社の自主企画サイトがオープンいたしました。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
 『Sur Craft スー・クラフト』 http://www.surcraft.jp/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年10月20日 (金)

一人の女の主観と客観 Vol.7 「分母の拡大 ル・クルーゼの戦略」

突然だが、私はバツイチの36歳だ。独りで3年前に購入した都内のマンションに住んでいる。主婦だった経験があるので、料理は一通りやろうと思えばできる。やろうと思うか思わないか、それが問題だが。平日はほとんど外食で、なるべくコンビニは避けているが、おうちごはんが無性に食べたくなり、週末に自分のためだけに自炊する事もある。一人暮らしにしては、キッチンの品々は充実しているつもりだったが、古くからの女友達からは、「クリスマスパーティーは可奈子の家では無理。だって調味料とか鍋が少なすぎるから。」と、貧弱なキッチンのレッテルを貼られ、結構ショックだった・・・。

その友人たちは、同世代の主婦や、独身でも料理教室に通うような食にこだわるタイプがほとんどで、こだわりの食材配送サービスや、地方の名産物、鍋の話しなどでよく盛り上がっている。私は、趣味のベクトルが極端にファッションに向いているせいか、料理が苦手ではないが、鍋なんてどれも同じだろ、見た目ダサくなければ良し、、と思っている。実際、スタッキングが便利な一人暮らし用の省スペース鍋をずっと活用していて、何の不満もない。だからその友人たちが「ル・クルーゼってほんとイイよね〜。」と会話しているのを初めて聞いたとき、まさか鍋の名称だとは思わず、頭に?が浮かんでいたが、彼女達の親切な説明によって、ホーローでできたブランド鍋で、かなり重い鍋というディスクリプションが脳内図鑑に記録された。

その後、インテリア系のショップやネット通販などで目にする度に「ちょっとした煮物とか普通のカレーも、他のお鍋で作るより断然美味しくできるのよね〜」という友達の声が聞こえてきたが、2万円を鍋に使うハードルは15万円のバッグを買うより高く感じられ、未だスタッキングが便利な鍋を愛用中である。

しかし最近、徐々に自分の中の「ル・クルーゼ購入ハードル」が低くなってきているのを感じる。マットな質感の黒やこの秋のモードでもトレンドのチョコブラウンなど、見た目が素敵なタイプが次々に発売されているようなのだ。元々は、赤とか黄色とか、ビビッドなカラーラインアップが主流だったので、そんな派手な鍋、うちのモダンキッチンに合わないし、部屋のインテリアにも合わない、、と思っていたのに。でも、そもそも料理本なんて見ない私にこれらの情報がリーチしている事に驚くのだが、その種明かしが宣伝会議誌に載っていた。

正に、私の事?!と思うようなターゲット像の事が書いてある。
・ファッションやインテリアに敏感でその延長でキッチンウェアにもおしゃれ感を求める20〜30代の独身女性
彼女達に効果的に訴求するために、広告もおしゃれで(とても鍋の広告とは思えない可愛いくて洗練されたビジュアル)媒体もモード系ファッション雑誌を中心に展開しているという。なるほど、きっと私もファッション雑誌で見て、このリスが可愛いくて素敵なマロン色のお鍋のビジュアルを覚えていたのだ。私がこのビジュアルを見て思い浮かべた絵は・・・ゆとりのある休日の午後(秋のひととき)、お気に入りの音楽でもかけながら、おしゃれなエプロンをかけてマロンカラーのル・クルーゼで、初めて作るちょっと凝った煮込み料理に挑戦している図、である。いやーん、なんか楽しそー。。。と、この時点でこの広告は完全に成功しているし、企業がシミュレーションしたユーザーシナリオが完璧に成立してしまった事になる。すごいなー、この広告。

これぞマーケティングの勝利ではなかろうか。女性の方が携わっておられるに違いないと勝手に推察しているのだが、実に感度の良いコミュニケーション戦略だと思う。私たちコンシャス・フィーメイルがお手本にしたいような事例だ。
「今すぐには購入に結びつかなくても、将来家庭をもったときに購入してもらえるように」と広報担当の方がこの広告の戦略意図を語っていらした。今後も日本における市場拡大を目指していくようなので、その表現手法が楽しみだ。他社とは明らかに異なるポジションを確立している製品が、その分母を拡大すべく繰り広げる戦略は、これぐらい明快なストーリーのシミュレーションが鍵なのかもしれない。(ぜひオフィシャルサイトもこの勢いでバージョンアップを期待したい。。)
(by 水野可奈子

 ル・クルーゼ

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006年10月13日 (金)

気になる芽 vol.7 『新しい消費プロセスがもたらす、日常生活のアミューズメント』

船橋(千葉)にIKEAがオープンして半年。気になりつつも、その混みようを多少冷ややかに見ながら、人出が落ち着いたら・・・と思っているうちに港北(横浜)が先月オープンしました。オープンしてまもない連休の中日にふと思い立ち、混むとわかりつつ出かけてみることに。

夕刻遅めの入店なら、人の流れも一段落ついているだろうという読みどおり、駐車場は満車状態ながらも、帰宅する人たちの車が次々に出るのですんなり入庫。店内にはもちろんたくさんの人がいますが、見るのに支障はありません。

ショッピングリスト、小さなえんぴつ、メジャーをそれぞれが手に取り、2階に位置するショールームへ入ります。販売している家具を用いて実際にコーディネートされたいくつもの部屋をまず見て歩く、という今までの日本の家具店にはあまりないスタイル。お客さんがワクワクと体験している雰囲気がまわりから伝わってきます。

30代のDINKSらしき夫婦は、大判の鏡を裏から横からと眺め、寸法をはかって真剣に悩み中。
デートで来ている若いカップルは、ふたりで嬉しそうにベッドに並んで座ってなにやら空想中。
お子さま連れは、『ボクの部屋、こんな感じでいいよー』と小学生ぐらいの男の子がアピール中。
新婚、または婚約中、新居購入計画中とおぼしきカップルたちは、部屋の中に置かれたソファに座り込んで見回しながら、ぴかぴかの新生活の夢の中。
男性ばかりのグループは、どうやらオフィス家具の選定中。

客層が若く、とにかくカップルが多かったことが印象的でした。ときおり混じっている熟年以降の夫婦は、家具を見に来たというよりも、話題の新しいアミューズメントを体験中といった風情。

おそらく、週末の午前中~日中は、バギーを押す若い家族連れが多く、平日の日中は、バギーを押すママたちや、新しもの好きな奥さまグループが多く見られるのだろうと想像できます。

競合はディズニーランド、と日本に再上陸したIKEA。たしかにアミューズメント施設として来訪者たちは十分楽しんでいるようです。

かく言う私は、何も買う気はなく、家の書斎をどうにかしたいなぁ、どんな人たちが来ているのかなぁとぼんやり考えていた程度でしたが、ショールームを出る頃には、頭の中は週末DIY計画と模様替え計画でいっぱいになっていました。ショールームもマーケットホールも、倉庫のような広い店内が壁でくっきりと分けられていないので、さっき見た場所が違うアングルから垣間見え、新鮮に感じてまた戻って見てしまうのです。ぐるぐると歩くうちに、“家をどうにかしようプロジェクト”がいつのまにやら私の中に立ち上がっているという有様です。

おそらくIKEAを訪れたほとんどの人が、帰宅後メジャー片手に室内のいろいろな場所を測って、あれこれと思案しているのでしょう。IKEAが私たち日本人を楽しませているのは、商品の種類や価格だけではなく、独自の商品の展示とピックアップのスタイルなのだと実感します。ショールームという非常に受動的な空間の中で自分の求めているものと好きなものを感覚でつかみ、欲しい商品を自ら探してピックアップするというプロセス。天井が高く広いセルフサービスエリアでのピックアップは労力を要し、すでにそこでDIYが始まっているかのようです。

そんな消費プロセスを楽しむ場所だからこそ、通販や安価な家具店にもありそうな商品でも、消費者はIKEAでの買い物を選ぶのかもしれません。

さて、家のものが大好きなマテリアルガールの私。『何も買う気はない』と思って出かけても、帰りの車は荷物でいっぱいになるのだろうな、と予想していたわりに、購入したのは100個パックで450円の小さなティーライトキャンドルだけでした。

お皿やお鍋など家庭用品の選択基準は特に大切にしたい派だからなのでしょうか。ずらりと並ぶル・クルーゼっぽい鋳造のお鍋を見て、“っぽい”のはいやかなぁ、安いだけでなくやっぱりロングセラー・デザインのものを選びたいなぁ、などと思っていたのでした。また、あまりに安く安易に手に入れるものへの薄い愛着感も予想できて、手が出なかったのかもしれません。

人はそれぞれのライフスタイルによって、お買い物にかける比重が異なるものです。IKEAでの消費のプロセスだけ仮想体験して楽しみ、実は購買しない客層というのもきっといるはず。過去、5年ごとに売上高を倍増させている(日経MJ 10/13)というIKEA。関西圏で初出店予定の神戸を含め、今後日本でどんなふうに真のお客さんたちをセグメンテーションしていくのか、楽しみです。 (by 伊藤恭子

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«keywords zapping vol.7 『エグゼクティブウーマン』